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道北の森と炭素 ・ 衛星リモートセンシングで森林炭素ストックを読む

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道北の森と炭素 ・ 衛星リモートセンシングで森林炭素ストックを読む

by north by north 編集部

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道北 (上川北部 ・ 宗谷 ・ 留萌内陸) のトドマツ ・ エゾマツ ・ ダケカンバ林は、 北海道全体の森林炭素ストックの中で大きな比重を占める。 衛星リモートセンシング + 深層学習で炭素ストックを推定する研究が国内外で進む中、 道北の森を「カーボンクレジット候補地」 として読むだけでなく、 林業 ・ 観光 ・ 気候適応の交点として読み解く視点を整理する。

カーボンニュートラル 2050 の文脈で、 森林の炭素吸収 ・ 蓄積能力が国際的に注目されている。 北海道の森林は全国の森林面積の約 4 分の 1 を占め、 道北 (上川北部 ・ 宗谷 ・ 留萌内陸) はその中でも比較的若い林分とボリアル系の樹種が混在する独特な地域である。 本稿では、 衛星リモートセンシングと深層学習で森林炭素ストックを推定する研究の現在地を、 道北の文脈に置き直して読む。

1. 「森の炭素」 を測る難しさ

森林の炭素ストックは、 樹幹 ・ 枝葉 ・ 根 ・ 土壌に分散して存在する。 樹幹だけなら胸高直径と樹高で推定できるが、 道北のような広域 ・ 過疎地で 1 本ずつ計測するのは現実的でない。 そこで、 衛星画像と地上プロット調査を組み合わせて広域の炭素ストックを推定する手法が、 ここ 10 年で急速に発展してきた。

2. 高分解能衛星画像 × 深層学習で炭素ストックを推定する

この論文は、 高分解能の衛星画像から森林炭素ストックを直接推定するモデルを、 スタイル転送 (Style Transfer) で複数地域間のドメインシフトを抑えながら学習する手法を提案している。 「ある地域で学習したモデルが別の地域でも使える」 ことは、 道北のような独自の森林構造を持つ地域にとって重要な含意がある。

ただし、 衛星画像だけでは林冠の上部しか見えない。 林床 ・ 倒木 ・ 土壌有機物まで含めた全炭素ストックを推定するには、 LiDAR や地上プロット調査と組み合わせる必要がある。

3. LiDAR × 統計モデルで広域推定する

この論文は、 アラスカの G-LiHT (NASA の航空 LiDAR システム) のスパースなサンプリングを使い、 広域の森林インベントリと小地域推定 (Small Area Estimation) を統計的に行う手法を扱っている。 道北はアラスカと同じ高緯度ボリアル帯であり、 同様の手法を移植できる地理的 ・ 生態的類似性を持つ。

日本国内では、 林野庁が国有林を中心に航空 LiDAR を取得しているが、 民有林や町有林は未取得が多い。 ここに、 民間 ・ 自治体 ・ 大学が連携してデータを補完する余地がある。

4. 道北の林業 ・ 観光 ・ 気候適応の交点としての森

森林炭素ストックを「カーボンクレジットの算定対象」 としてだけ捉えると、 議論が単線的になる。 道北の森は以下の複数の機能が重なる場所である。

機能主体評価軸
木材生産森林組合 ・ 林業会社木材売上 ・ 雇用
炭素吸収 ・ 蓄積国 ・ 自治体 ・ クレジット購入企業吸収量 ・ クレジット単価
観光 ・ 体験nbyn ・ アクティビティ事業者訪問者数 ・ 体験品質
生物多様性保全環境省 ・ 研究機関 ・ NGO種数 ・ 個体数
気候適応流域自治体 ・ 治水関係者水源涵養 ・ 土砂災害抑制

これらは互いに連動する。 たとえば、 過剰な木材伐採は短期の炭素ストックを減らし、 観光価値と生物多様性も同時に削る。 一方で、 適切な間伐は林分の生長を促し、 中長期の炭素吸収力を高めながら林床の生物多様性も維持できる。

衛星リモートセンシングで広域の炭素ストックが推定できるようになると、 これらの複数機能を統合的に評価する基盤が整う。 数字は意思決定の補助線として、 これからますます重要になる。

5. 道北のための実装ステップ ( 仮 )

Phase期間内容
01〜3 ヶ月既存の衛星データ (Sentinel-2 / Landsat) と林野庁データを統合 ・ ベースライン推定
13〜12 ヶ月道北の代表林分でプロット調査 + 衛星推定の精度検証
212〜24 ヶ月自治体 ・ 林業会社向けに、 流域単位の炭素ストック推移ダッシュボードを試作
324 ヶ月〜クレジット化 ・ 観光体験設計 ・ 林業計画と統合した意思決定基盤に発展

技術的ハードルは下がってきている。 残る課題は、 ステークホルダーの利害が異なる中で、 数字をどう翻訳し、 どの意思決定に接続するかである。

まとめ

道北の森は、 北海道全体の森林炭素ストックの中で独自の位置を占めている。 衛星リモートセンシングと深層学習は、 広域の炭素ストックを低コストで推定する手段を実用段階に押し上げてきた。 ただし、 数字だけを単独で扱うと、 「クレジット最大化」 だけの議論に流れやすい。 林業 ・ 観光 ・ 生物多様性 ・ 気候適応の複数機能を統合する中間レイヤーとして、 nbyn は地域の文脈で数字を翻訳する役割を担いたい。