Nature Positive
ネイチャーポジティブについて
生物多様性の損失を止め、回復に反転させる。
そのためにわたしたちが今知っておきたいこと、考えておきたいこと。
今、起きていること
ネイチャーポジティブとはなにか
自然を「減らす」のではなく、「増やす」方向に転換すること。
2020年を基準として、2030年までに生物多様性の損失を止め ・ 反転させ、2050年までに生態系を完全に回復させること。
気候変動における「ネット ・ ゼロ (Net Zero)」と並ぶ、生物多様性分野の世界共通目標。 単に現状維持ではなく、積極的な「回復」へのシフトが求められています。
2020 → 2030 → 2050 のロードマップ
2020
基準年
ネイチャーポジティブの達成度を測る基準年。この年の自然の状態と比較して回復を評価する
2030
反転目標
生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せる短期目標。30by30 (陸海の30%保全) もこの年まで
2050
完全回復
生態系が完全に回復し、自然と人間社会が共生する「ビジョン」の実現年
なぜ自然が大切か
自然が果たす役割、4つの「生態系サービス」
基盤サービス
すべての生命の基盤。酸素 ・ 土壌 ・ 水循環など、他のサービスを成り立たせる根本的な機能。
酸素供給 ・ 土壌形成 ・ 水循環
供給サービス
食料 ・ 木材 ・ 医薬品 ・ 水など、暮らしの「原料」を提供する機能。農作物の75%以上は受粉に依存。
食料 ・ 木材 ・ 医薬品原料
調整サービス
気候調整 ・ 洪水防止 ・ 水質浄化など、将来の安全を守る機能。森林は炭素吸収にも貢献。
気候調整 ・ 洪水防止 ・ 水質浄化
文化的サービス
観光 ・ 精神的豊かさ ・ 伝統文化 ・ 教育の源となる機能。日本の「花鳥風月」の文化もここから。
観光 ・ 伝統文化 ・ 精神的豊かさ
国際的な政策の流れ
世界はどのように変化しているか
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2020
「ネイチャーポジティブ」の概念が公表
14の民間企業団体 ・ 自然保護団体が「A Nature-Positive World: The Global Goal for Nature」を共同発表。WEFも10兆ドルのビジネス機会を試算。
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2021
G7自然協約 ・ TNFD発足 ・ COP15第1部
G7コーンウォールサミットで「G7 2030年自然協約」合意。TNFD (自然関連財務情報開示タスクフォース) 正式発足。COP15「昆明宣言」にネイチャーポジティブが明記。
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2022
昆明 ・ モントリオール生物多様性枠組採択
COP15第2部 (モントリオール) で「30by30」含む新世界目標が採択。2030年までの生物多様性損失の反転が世界共通目標に。
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2023
TNFD v1.0公表 ・ 日本国家戦略 ・ G7 ANPE設立
TNFDフレームワーク最終版公表。日本で「生物多様性国家戦略2023-2030」閣議決定。G7札幌でG7ネイチャーポジティブ経済アライアンス設立合意。
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2024
日本「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」策定
環境省 ・ 農水省 ・ 経産省 ・ 国交省の4省合同で移行戦略策定。2030年に国内47兆円のビジネス機会と試算。TNFD採用企業数が世界最多水準に。
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2026〜
ISSB自然開示基準 ・ 義務化へ
ISSBが自然関連の国際財務報告基準 (BEES) を策定予定。2028年頃には日本でも開示義務化が視野に。「自然の状態指標」フレームワークも最終策定へ。
日本の取り組み
日本は世界をリードするネイチャーポジティブ先進国です
47兆円
2030年に国内で生まれるビジネス機会 (環境省試算)
ネイチャーポジティブ型経済への移行により、125兆円の経済効果が見込まれる。 TNFD採用表明企業数は世界最多水準 (約130社以上、2024年時点)。
- 生態系の保全 ・ 回復 (陸域 ・ 海域)
- 野生生物の保護管理と持続的利用
- 気候変動と生物多様性の統合対策
- 事業活動 ・ 資金の流れの転換
- 社会全体での生物多様性の主流化
北海道とネイチャーポジティブ
「場所の固有性」が重要なネイチャーポジティブにおいて、北海道は日本の中でも非常に重要な役割を持つ地域です。
農業 ・ 酪農
日本最大の農業地帯として、土壌 ・ 水 ・ 受粉昆虫など自然資本に直接依存。TNFDによる可視化と開示で、ESG投資家からの評価向上やブランド差別化が可能。
水産業 ・ 漁業
海洋生態系への高い依存度を持つ水産業は、TNFD開示が最も直結する産業。資源の科学的管理と開示による企業価値向上の実例が国内外で生まれています。
林業 ・ 森林資源
国内最大の森林地帯として、炭素固定 ・ 水源涵養などの生態系サービスをTNFD的に開示。FSC認証と組み合わせた国際市場へのアプローチが有効。
観光 ・ 地域ブランド
豊かな自然環境がそのまま観光資源。「ネイチャーポジティブな北海道」というブランドを構築することで、国内外からのインバウンド促進にもつながります。
生物多様性保全
タンチョウ ・ シマフクロウなど固有種が多く、30by30目標 (陸海の30%保全) 達成への最大の貢献地として、自然共生サイト (OECM) 認定を推進。
アイヌ文化 ・ 地域知
TNFDは「先住民族 ・ 地域コミュニティとのエンゲージメント」を開示要件に明記。アイヌの自然観 ・ 知識を活かした独自モデルを構築できる稀有な地域。
企業はどう向き合うか
TNFDが推奨する「LEAPアプローチ」+ 準備の5ステップ
- L
LOCATE / 発見する
自社事業 ・ サプライチェーンが自然とどこで接点を持つかを地図上で特定
- E
EVALUATE / 診断する
自然への依存度とインパクト (影響) をENCORE等で定量 ・ 定性評価
- A
ASSESS / 評価する
自然関連のリスクと機会を抽出し、財務インパクトを把握する
- P
PREPARE / 準備する
戦略 ・ 目標を設定し、情報開示の準備を整える
- →
DISCLOSE / 開示する
アニュアルレポートや統合報告書でTNFD準拠の開示を実施
TNFDとはなにか
一言でいうと「企業が自然環境とどう関わっているかを、経済的価値に置き換えて報告する仕組み」です。
自然資本とは
森林 ・ 海洋 ・ 土壌 ・ 淡水 ・ 生物多様性など、自然が持つ「資産」のこと。私たちの経済活動はすべて、この自然資本の恵みの上に成り立っています。
なぜ「財務」情報?
自然が失われると、農業 ・ 水産業 ・ 観光業など、多くの産業に実際の損害が出ます。自然リスクは「環境問題」ではなく「経営リスク」です。
誰が使う?
企業 ・ 金融機関が対象です。自社の事業活動が自然にどれだけ依存し、どんな影響を与えているかを調べて、投資家や社会に公表します。
どこで生まれた?
2019年ダボス会議で着想。国連 (UNDP ・ UNEP) やWWFが主導し2021年に正式発足。2023年9月に最終フレームワークv1.0が公表されました。
TNFD開示の4本柱
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01
ガバナンス
自然関連課題に対する取締役会 ・ 経営陣の監督体制と責任の所在を示す
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02
戦略
自然関連のリスクと機会が事業戦略 ・ 財務計画にどう影響するかを開示
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03
リスク管理
自然関連リスクの特定 ・ 評価 ・ 管理プロセスを全社リスク管理と統合して説明
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04
指標と目標
自然への依存 ・ インパクト ・ リスク ・ 機会を測る指標と達成目標を設定 ・ 公表
世界最多
日本企業のTNFD採用表明数は世界最多水準
TNFD最終提言公表以降、開示に取り組むことを表明した日本企業は約130社以上 (2024年時点)。 世界の中でも日本は最も積極的に対応を進めている国のひとつです ( TNFD global / 環境省 )。
関連リサーチ
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nbyn Magazine
道北の森林システム ・ センサスでたどる10年の推移下川町90.6% ・ 道北80%超 ・ 4軸で森林ストックを位置づける現状分析。
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dohokuhub.com
道内森林の生物多様性と長期推移 (全道スケール) ↗知床 ・ 大雪山 ・ 阿寒 ・ 道南の森林タイプ別の論点を全道スコープで整理。